まちびらき後の変化を踏まえた要望書を提出

入曽まちづくりの会は6月12日、県道入曽停車場線の安全性確保・利便性向上と、市営西口自転車駐車場に替わる恒久施設整備に向けた要望書を狭山市に提出しました。これは、入曽のまちびらきを経て変化した駅前の様子や利用者から寄せられた意見を踏まえ、短期的・長期的な課題を整理し、会として優先度が高いと判断した内容をまとめたものです。

要望事項1

県と連携し、県道入曽停車場線の自動車通行抑制策を講じ、歩行者・自転車の安全性を確保し、同県道と東口駅前広場との歩行者の直接往来を可能にすること。

入曽駅橋上駅舎・東西自由通路供用開始以降、県道入曽停車場線は駅南側と駅東口を往来する歩行者の主要な往来経路になっている。ここの歩行者は駅南側に住む人に加え、入曽地域交流センターや入曽地域包括支援センター、眼科クリニックを少しでも短距離でまたは少しでも自動車交通量が少ない経路で利用したい人が含まれ、重要性が高い経路である。一方、同県道は入曽駅周辺の抜け道として通過する自動車も一定数存在しており、さらには、標識や看板表示によって禁止されているものの、東口駅前広場に侵入せず駅利用者を送迎する自動車の路上駐車も発生している。したがって、道幅の狭い道路で歩行者・自転車・自動車の輻輳が生じている危険な状況は依然として継続している。

東口駅前広場と同県道とは隣接しているにもかかわらず、安全対策を目的とした市の設計により、その境界は腰ほどの高さのガードパイプ等で仕切られ、この間を往来する歩行者は市道B299号線を経由した迂回を強いられている。この迂回による時間的または体力的な負担にストレスを感じる利用者が多く、身体的に健康な利用者でも困惑しているところ、身体障害者や足腰が弱い高齢者で自分の力で外出しようと日々努力している利用者にとっては、この負担が如何に絶大であるかは想像に難くない。一部の利用者はガードパイプ等を無理やり跨ぐなどの行動も見せており、県道路面への転倒・自動車との接触といった潜在的な危険性も新たに生じている。通り抜けを禁止する市の看板設置後も、こうした危険の抜本的な解消には至っていない。駅改札口の北への移動、橋上化、比較的長大な東西自由通路の存在といった変化で駅南側からホームへの経路が長くなってしまった利用者にとって、少しでも短い経路を選択したいという行動心理は自然なことである。市の意図した経路誘導や交通法規の遵守はもちろん理想ではあるが、それに反したこれらの行動を一概に批判することもできない。

これを受けて本要望は、まずガードパイプ等を跨げない高さにかさ上げすることを求める(県道入曽停車場線の歩行者の安全が確保されるまでの一時的な対策)。次にすべての根本的な原因である県道入曽停車場線の自動車交通量を一方通行や時間規制など自動車通行抑制策を講じることで低減させ、歩行者・自転車の安全を確保することを求める。そのうえで、東口駅前広場と県道入曽停車場線の境界のガードパイプ等を一部除去し、駅南側利用者の負担になっている迂回の解消を求める。本要望は、道路管理者である埼玉県ではなく、各交通動線の変化をもたらした入曽駅周辺整備事業の原因者である狭山市に第一義的な責任があると考え、市に責任を持った対応と県との適切な連携を求める。

また、魅力ある駅前商店街にするためにも、歩行者・自転車が安心して通過・滞在できる道路空間の確保や歩行者の回遊性改善は不可欠であり、本要望の実現は、駅利用者の安全面や不便解消だけに留まらず、まちの賑わいに波及する点も強調しておく。

東口駅前広場と県道入曽停車場線の位置関係と歩行者経路
東口から各施設への経路

要望事項2

入曽駅西口自転車駐車場に替わる恒久的な駐輪施設を早急に検討・整備すること。

入曽駅西口駅前広場の整備に伴い、入曽駅周辺で最大規模の市営第11自転車駐車場(旧西口駐輪場)は閉鎖され、入曽駅西口自転車駐車場(新西口駐輪場)が開設された。新西口駐輪場は、駅からの道のりが300m強と遠くて不便であるだけでなく、自動車の交通量が多く大型車も通過しスピードも出ている県道8号川越入間線を交通整理のない横断歩道で渡る必要があったり、同県道の歩道が極めて狭く舗装面が平坦でなく不安定であり、利用者にとって危険な立地である。新西口駐輪場は、入曽駅周辺整備事業のまちびらき後に需要や利用者動線が変わる可能性があることから暫定扱いであり、入曽まちづくりの会が求める「入曽駅西口駐輪場に関する安全対策の要望」(2023年9月20日提出)の要望内容の大部分が実現しないまま今日に至っている。

本要望は、まちびらきを経て駐輪場の需要や利用者動線の調査が可能な状況が整ったことから、一日も早くこの駐輪場の暫定的な扱いを解消し、駅周辺に安全で利便性の高い代替駐輪場整備を求めるものである。なお、周辺の宅地や農地に影響しないよう整備場所は可能な限り駅に近い公有地や鉄道用地を優先して検討し、駐輪場の需要調査や仕様検討においては、駐輪場利用者にオープンな形で進めることを強く求める。

西口から駐輪場までの経路